座る姿勢-正しい座り方で健康維持
座ると体の力を抜いてリラックスする人はとても多いと思います。 ところが体の重さは座ったからといって軽くなるわけではありません。 正しい姿勢を維持していないと、その体の重さは靭帯や椎間板などの負担になってしまいます。
座る姿勢というのは立っているときと比べて楽に感じますが、それは脚の筋力を使わないためで実は椎間板には大きな負担が掛かっています。 姿勢による椎間板に掛かる圧力を調べた実験によると、まっすぐ立っているときと比べて座って前傾姿勢をとると1.85倍の圧力が椎間板に掛かっています。 立っているときを100とすると、それぞれの姿勢での椎間板内圧はこのようになります。
- 仰向けに寝る:25
- 横向きに寝る:75
- まっすぐに立つ:100
- 立って中腰(前傾姿勢):150
- 座る:140
- 座って前かがみ:185
「姿勢の変化による椎間板内圧の変化Nachemson,A. L.: The lumber spine an orthopae-dic challenge,Spine,1(1), 59-71(1976).
座っている時に腰に負担が掛かると言われる理由は、座っているときのほうがバランスが取りやすいため、不自然な姿勢も取る事が出来ます。 その結果、腰椎が後湾しやすいからです。 後湾になると、上半身の重さは背面の筋肉や靭帯に吊り下げられる形になります。 この姿勢を長くとることによって、負荷の掛かった筋肉は固くなり腰痛や肩こりの原因にもなります。 また椎間板が変形を起こし、椎間板ヘルニアの原因にもなります。
良い座り方
基本的には立っているときと同じで、左右対称で背骨は緩やかなS字の生理的湾曲を維持します。
椅子に接している部分は坐骨の最も下側の部分であることが好ましい状態です。
悪い座り方
骨盤が上を向くような、坐骨の後ろの方が椅子に接している座り方は、 浅く腰掛け背もたれにもたれかかる座り方によく見られます。 これは腰椎の後湾を強く生み出す座り方で、非常に腰に負担が掛かる座り方になりますので、避けなければいけません。 腰痛や腰椎椎間板ヘルニアを引き起こす危険があります。
腰椎の後湾が強く出て腰に負担が掛かるばかりではなく、頭の重さを首から背中の筋肉で支えることによって、
首や肩に負担が掛かる座り方です。
腰痛、椎間板ヘルニア、肩こり、頭痛の原因になりかねません。
いろいろな座り方
脚を組む
椅子に座って脚を組むと、骨盤がねじれて脊柱も左右に曲がります。 脚を組まないと座っていられないという場合は、既に骨盤や背骨に歪みがある場合が多いのです。 より悪化させないためにも、僅かな時間でも脚は組むべきではありません。
ソファーに座る
ソファーは座面が柔らかいので腰が沈み、そのまま寄りかかると腰が後湾の姿勢になりやすくなります。 腰の生理的湾曲が保てるように、深く腰掛け腰にクッションなどを挟んで腰の前湾が維持できるようにしてください。 あるいは背もたれに寄りかからずに浅く腰掛け、背筋を立っている時と同じようにすべきです。
正座
正座は腰にとっては最も楽な座り方です。 正座が腰に負担が少ない理由は、立っているときと同じように脊柱の湾曲を正常に保ちやすく、腰椎の後湾を防げるからです。
あぐらをかく
あぐらは股関節の柔軟性が高い人以外は、腰の前湾を維持することが難しい座り方です。 前湾が維持できない人はこの座り方は避けたほうが良いでしょう。
横座り
横座りは女性がよくリラックスしたときに行う、正座を崩した座り方ですが、この姿勢は脊柱の左右の歪みを生み出します。 左右を時々入れ替えればまだ良いのですが、極力避けるべきです。
体育座り
両膝を揃えて抱える座り方です。 この姿勢は腕の筋力も使えるため楽に感じる場合もありますが、腰椎の後湾が出やすいため腰に負担が掛かります。