外傷を受けた組織の治癒過程

外傷は膠原線維と呼ばれる、コラーゲンから成る伸長性に欠ける反面、引っ張りには強い結合組織の細胞間に見られる繊維が、外傷部を覆いながら修復します。 外傷による細胞の損傷部は炎症反応で5日で壊死します。 この段階までに外傷部は網状に膠原繊維に覆われます。 この時に患部を冷却すると、炎症を最小限に抑えることができます。 炎症が増加するとより多くの膠原繊維が形成され、必要以上に伸びない厚い層を形成します。 冷却による治療は、膠原繊維が出来た5日以降は効果が少なくなります。 新しい外傷部が良い治療過程となるには、約5日後から優しく無理の無い動きを加える必要があります。 続いて次第に動きを増やしていけば、3〜4週間で元の最大可動域まで回復します。

約3週間から1ヶ月で膠原繊維による修復は終了するのが望ましいでしょう。 また新しく形成された瘢痕組織と呼ばれる、組織の欠損部に増殖した肉芽組織が古くなって繊維化した組織は、 繰り返してストレッチを行わない限り、徐々に短縮していきます。 ストレッチを行うべき過程は、外傷後の初期に開始し、軟組織が短縮しないように完全に回復するまで継続するのが理想と言われています。

中には外傷が原因となり、短縮が形成されて完全な可動域が失われてしまう人がいます。 この場合は、根本的に治すために、長い期間をかけてストレッチを行っていくことが必要になります。 損傷を与えない程度の一定の牽引する力によるストレッチを繰り返せば、繊維は化学的または構造的に変化して、問題のあった組織を強く、伸縮性に富んだ組織にします。 数年間も継続してストレッチを行った人もいるようです。

自然の回復速度を速めることは出来ません。 しかし回復の遅れを避けて、正しい治癒過程を作り出すことが出来ます。 治癒過程には回復が遅れるような、強い構造的な治療を加えてはいけません。 化学物質が不可欠な外傷による痛みがあるときに、激しい構造的な治療を受けると回復が遅れてしまいます。

痛みと治癒の関係

短縮した繊維や瘢痕組織のなどの硬く縮んだ組織にストレスが加わると、直ちに痛みが生じます。 この痛みも姿勢を変えるだけで緩和します。 この痛みは、特定の動きの最大となる可動域を取らないようにすれば、発生しません。 椎間板への偏った圧迫をなど、長い時間の体の一部への負担は組織を変形させて、痛みが生じたりある特定の動きを妨げます。 どの組織であっても、過度な圧迫が加わると損傷して痛みを生じます。 そして完全に治るか機能的に回復して自由に動けるようになるまで、痛みが続きます。

痛んでいる限り、上手く治癒しておらず回復していないと考えるのは正しくありません。 また治癒過程が終了すれば、痛みが消えるという考えも間違いです。 治癒過程が終わっても、治った組織に最大可動域でストレスが加われば痛みが続きます。 それは多くの痛みは外傷だけではなく、姿勢の歪みや異常な圧迫による構造的ストレスが、原因となるからです。

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