腰痛が生じたり再発する二番目の要素は、腰椎の伸展可動性減少です。 伸展可動性制限とは、腰椎を反らすことの出来る可動域の限界が減少することを示します。 伸展の可動性減少は、座る、立つ、歩く姿勢に影響を与えます。

特に先進国で生活している人たちは、特に悪い姿勢の習慣の結果として、体のどこかの可動性が失われがちです。 30歳になる成人が正常な伸展可動域を維持しているのは僅かで、残りの人は悪い姿勢が要因となり腰椎の適応性が失われていると言います。 病歴など考えて腰痛が機能不全によるものであることが明確に判明した場合、 可動域が減少している腰椎に正しい運動を実行すれば、殆どの腰痛は軽減します。

悪い姿勢や特定の問題で修復する過程から道が外れたことが原因で、 多くの場合は、伸展の可動性つまり腰を伸ばせる可動範囲が失われていると考えます。 組織の治癒過程で形成される瘢痕が組織を短縮して、脊柱を僅かに前屈した体勢でリラックスするため、 気が付かずにそのままでいると、伸展の可動性が減少されます。 伸展した体勢でリラックスできる人もいますが、正常な伸展の可動性は減少されていることが多いのです。

こうした伸展の可動性が減少している人が、速く完全に回復することは期待できません。 多くの人は正しく回復する方法を行わない限り、減少した伸展可動域が残されてしまい、前湾を作って座る能力を失っているのです。 十分な伸展可動域を確保できない人は、前湾を維持して座ることが困難であるとは、一般的には知られていないようです。 何かの理由で腰椎に前湾を作らず、腰を平にして、あるいは屈曲して座る人は、 どこかの椎間板への圧迫が増え、椎間板後方の繊維輪に過度のストレスを与えていることになります。

伸展可動域が減少することは、単に正しく座れなくなるだけでなく、完全に背中を伸ばして立つ姿勢を妨げる主な要因になります。 その結果、座る姿勢以外でも、長時間立つ姿勢やリラックスして立つ姿勢においても、 完全に靭帯などが過剰にストレッチされてしまい、痛みが生じる結果に繋がるのです。

伸展の可動域の減少が進むと、少し前かがみの姿勢で歩行するようになります。 しかし僅かでも前かがみの姿勢でいることで、髄核や繊維輪の後方に持続的なストレスを加えます。 可動域が正常であれば、腰を伸ばすことでこのストレスを解除することが出来ます。 しかし腰椎の一部分でも伸ばすことができない状態であるなら、ストレスからの開放は難しくなります。 その結果、ストレスによって関節面を含むすべての関節の構造は、なんらかの問題を発生することがあります。

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